証跡って何を残す?|監査で問われる「記録」の基本
「証跡を残してください」
監査対応や産業医業務の中で、こう言われたことはありませんか?
「証跡」と言われても、何をどう残せばいいかわからないという声は多いです。
本記事では、産業医対応における「証跡」とは何か、何を残すべきかを解説します。
証跡とは何か
証跡(Evidence) とは、「ある行為が行われたことを示す証拠・記録」のことです。
産業医対応における証跡は、主に以下の目的で使われます。
| 場面 | 目的 |
|---|---|
| 監査対応 | 「ちゃんと対応していた」ことを示す |
| 訴訟対応 | 安全配慮義務を果たしていたことを証明する |
| 内部確認 | 過去の対応履歴を振り返る |
残すべき証跡の種類
1. 面談記録
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を残す | 面談日時、参加者、主訴、産業医の所見、今後の方針 |
| 残す人 | 産業医 |
| タイミング | 面談後3日以内 |
2. 産業医意見書
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を残す | 就業上の配慮に関する意見(就業可否、制限事項、期間) |
| 残す人 | 産業医 |
| タイミング | 面談後速やかに |
3. 是正オーダー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を残す | 是正内容、期限、責任者、実行報告義務 |
| 残す人 | 産業医 |
| タイミング | 意見書と同時または直後 |
4. 是正実行ログ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を残す | 是正オーダーが実行されたことの証拠(勤怠データ、部署異動記録等) |
| 残す人 | 人事・上長 |
| タイミング | 是正期限内 |
5. 意思決定ログ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を残す | 復職可否の決定、就業制限の解除など、誰が・いつ・何を決めたか |
| 残す人 | 人事 |
| タイミング | 決定時 |
証跡の保存期間
| 証跡の種類 | 推奨保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 面談記録 | 5年以上 | 労働安全衛生法の記録保存義務 |
| 意見書 | 5年以上 | 同上 |
| 是正オーダー | 5年以上 | 同上 |
| 是正実行ログ | 5年以上 | 訴訟時効を考慮 |
※ 安全配慮義務違反の時効は10年のため、可能であれば10年保存が望ましい。
「やった」と「証明できる」は違う
監査や訴訟で問われるのは、**「やったかどうか」ではなく「証明できるかどうか」**です。
| 状況 | 証跡がない場合 | 証跡がある場合 |
|---|---|---|
| 面談はした | 「したはずです」 | 「記録があります」 |
| 是正を指示した | 「言いました」 | 「オーダーがあります」 |
| 是正が実行された | 「されたと思います」 | 「実行ログがあります」 |
まとめ
| 証跡の種類 | 残すべき内容 | 残す人 |
|---|---|---|
| 面談記録 | 日時・参加者・所見・方針 | 産業医 |
| 意見書 | 就業上の配慮意見 | 産業医 |
| 是正オーダー | 是正内容・期限・責任者 | 産業医 |
| 是正実行ログ | 実行証拠 | 人事・上長 |
| 意思決定ログ | 誰が・いつ・何を決めたか | 人事 |
証跡は「残す」だけでなく、「すぐ出せる」状態にしておくことが重要です。
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