Excel管理 vs Case管理システム:監査対応の差
「Excelで管理できているから、システムは不要では?」
産業医対応の管理において、Excelは多くの企業で使われています。しかし、監査対応や証跡提出の場面で、Excelとシステムには大きな差が生まれます。
本記事では、Excel管理とCase管理システムを「監査対応」の観点から比較します。
比較表
| 観点 | Excel管理 | Case管理システム |
|---|---|---|
| 期限管理 | 手動確認が必要 | 自動アラート |
| 証跡保存 | ファイル散在、探すのに時間 | Case単位で自動保存 |
| 監査対応 | 証跡を集めて整理(2〜3時間) | 1クリックでパック出力(10分) |
| 属人化 | 担当者依存 | 誰でもアクセス可能 |
| エスカレーション | 手動で報告 | 自動で上長に通知 |
| 履歴追跡 | 変更履歴が残らない | すべての変更を自動記録 |
観点1:期限管理
Excelの場合
- フォロー面談の期限をセルに入力
- 毎日/毎週、手動で確認が必要
- 担当者が休むと確認されない
Case管理システムの場合
- 期限が近づくと自動でアラート
- 担当者→上長→人事へ段階的にエスカレーション
- 期限超過は即座に検知
差が出るポイント:Excelは「能動的に確認しないと気づかない」。システムは「受動的でも気づける」。
観点2:証跡保存
Excelの場合
- 面談記録はWord、意見書はPDF、是正連絡はメール
- ファイルはフォルダに散在
- 「あの人の記録どこだっけ?」で探す時間が発生
Case管理システムの場合
- すべての証跡がCase(案件)に自動紐付け
- 面談記録・是正オーダー・実行ログ・意見書が1箇所に
- 「この人の証跡」と言えば、1クリックで全部出てくる
差が出るポイント:証跡が「探さないと出てこない」か「すぐ出てくる」かの違い。
観点3:監査対応
Excelの場合
監査対応フロー(Excel)
1. 対象者リストをExcelで確認
2. 面談記録をWordフォルダから探す
3. 意見書をPDFフォルダから探す
4. 是正連絡のメールを検索
5. すべてをまとめて提出
→ 1件あたり2〜3時間
Case管理システムの場合
監査対応フロー(システム)
1. Caseを開く
2. 「証跡パック」をダウンロード
→ 1件あたり10分
差が出るポイント:監査時の「証跡準備時間」が10倍以上違う。
観点4:「何かあったとき」の備え
監査だけでなく、訴訟リスクへの備えも重要です。
安全配慮義務違反が問われた場合、企業は「ちゃんと対応していた」ことを証明する必要があります。
| 問われること | Excel | システム |
|---|---|---|
| 面談はしたか? | 記録があれば証明可能 | 記録があれば証明可能 |
| いつ誰が何を決めたか? | 追跡が困難 | すべて自動記録 |
| 是正は実行されたか? | 「言った」記録はあるが「やった」記録がない | 実行ログで証明可能 |
| フォローは漏れなくやったか? | 漏れがあっても気づかない | 漏れは自動検知 |
差が出るポイント:「やったかどうか」ではなく「証明できるかどうか」。
Excel管理が向いているケース
すべての企業にシステムが必要とは限りません。
Excel管理で十分なケース:
- 年間の産業医面談件数が10件未満
- 復職者・長時間労働者がほとんどいない
- 監査対応の頻度が低く、証跡準備に時間をかけられる
- 担当者が固定で、属人化リスクが低い
Case管理システムが向いているケース
システム導入を検討すべきケース:
- 年間の産業医面談件数が30件以上
- 復職支援、長時間労働対応が継続的に発生
- 監査対応で「証跡がすぐ出せない」と感じている
- 担当者の異動があり、属人化リスクがある
- 経営層から「今どうなってる?」と聞かれることがある
まとめ
| 観点 | Excel | システム |
|---|---|---|
| 導入コスト | 無料 | 月額費用あり |
| 期限管理 | 手動 | 自動 |
| 証跡準備 | 2〜3時間/件 | 10分/件 |
| 属人化 | リスクあり | 解消可能 |
| 監査・訴訟対応 | 準備に時間がかかる | すぐ対応可能 |
「今のExcel管理で問題が起きていない」なら、そのままで良いかもしれません。
しかし、「いつか監査が来たら…」「訴訟になったら…」と不安があるなら、仕組みを見直すタイミングです。
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